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モーツァルトの手紙、自分の作曲した幾つかのコンチェルト(第四一三番、四一四番、四一五番)についての――「これらの曲は過度の難しさと過度の易しさとのちょうど中間に位置しています。みな輝かしい曲ばかりです……が、貧しさを欠いています。」
ロベール・ブレッソン『シネマトグラフ覚書』(松浦寿輝訳)
通りすがりに街頭で、ふと耳にする旋律の美しさにおどろくことがある。書店の店さきで、何気なく開いた詩集の一連、画集の一ページに目を見はることがある。私は、多く行きずりに美しいものに会う。詩集や画集を求めて帰り、自分の机に置くとき、それらの魅力は色あせ、店頭でのあの生き生きとした感動はもはやよみがえらない。予期しない時に出会うものの美しさ。私たちを立ちどまらせる感動。私は求めているときにそれに会うことがなく、求めていない時に不意に出会うのだ。
石原吉郎『望郷と海』
河出書房新社が1973〜1978年に出版した「叢書・同時代の詩」は全9巻のシリーズ。短期間で詩集を書き下ろすという企画だったようだ。その第1弾が吉増剛造の『王国』で、以後、天沢退二郎『夜々の旅』、清水昶『野の舟』、田村隆一『死後』、鈴木志郎康『日々涙滴』、飯島耕一『[next]』、北村太郎『あかつき闇』、佐々木幹郎『百年戦争』と続く。そして最後の9巻目が岡田隆彦の『巨大な林檎のなかで』となる。80年代半ばに上京した僕は、早稲田通りや神保町の古本屋でこのシリーズを何度も手に取った。詩書出版社が刊行する詩集よりも部数が多かったのではないか。当時の、古本屋街の暗がりを思い出すと、あれはあれで旅だったのだと思えてくる。
松本圭二「ニューヨーク詩集」
おそらく資質の問題でしかないのだろう、異郷にひかれ、あらゆる土地で異郷にあることを強く感じ、そこからはじめて生きている感覚を、火を盗むようにもちかえってくる精神は。だが彼が盗む火はあくまで個人的なもの、他人にとっては冷たい火の模造品にすぎず、彼は英雄ではなく、ひとりのどこにでもいる旅人にすぎない。
管啓次郎『コロンブスの犬』
ハンモツクから抱き上げて私でなければならない気がして
河東碧梧桐『碧梧桐句集 八年間』
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